不正指令電磁的記録保管被告事件

事件番号

令和2(あ)457

事件名

不正指令電磁的記録保管被告事件

裁判所

最高裁判所第一小法廷

裁判年月日

令和4年1月20日

裁判種別

判決

結果

破棄自判

原審裁判所

東京高等裁判所

原審事件番号

令和1(う)883

原審裁判年月日

令和2年2月7日

事案の概要

本件公訴事実 (訴因変更後のもの) の要旨は,「被告人は,インターネット上のウェブサイト『X』の運営者であるが,X閲覧者が使用する電子計算機の中央処理装置に同閲覧者の同意を得ることなく仮想通貨モネロの取引履歴の承認作業等の演算を行わせてそれによる報酬を取得しようと考え,正当な理由がないのに,人の電子計算機における実行の用に供する目的で,平成29年10月30日から同年11月8日までの間,X閲覧者が使用する電子計算機の中央処理装置に前記演算を行わせるプログラムコードが蔵置されたサーバコンピュータに同閲覧者の同意を得ることなく同電子計算機をアクセスさせ同プログラムコードを取得させて同電子計算機に前記演算を行わせる不正指令電磁的記録であるプログラムコード (以下「本件プログラムコード」という。) を,サーバコンピュータ上のXを構成するファイル内に蔵置して保管し,もって人が電子計算機を使用するに際してその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録を保管した」というものである。 仮想通貨 (暗号資産) の取引履歴の承認作業等の演算は,仮想通貨の信頼性を確保するために行われ,その演算のために電子計算機の機能を提供した者に対して,報酬として仮想通貨が発行される仕組みになっている。承認作業等の演算を行って仮想通貨を得ることを「マイニング」と称するところ,本件当時,ウェブサイトの収入源として,閲覧者の同意を得ることなくその電子計算機を使用してマイニングを行わせるCoinhiveというウェブサービス (以下「コインハイブ」という。) が,CoinhiveTeamという事業者 (以下「コインハイブチーム」という。) により提供されていた。 本件は,被告人が,Xの収入源としてコインハイブによるマイニングの仕組みを導入するために本件プログラムコードをサーバコンピュータに保管した行為について,不正指令電磁的記録保管罪に問われた事案であり,主な争点は,本件プログラムコードが,刑法168条の2第1項 (以下「本件規定」という。) にいう「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否かである (以下,「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき」という要件を「反意図性」といい,「不正な」という要件を「不正性」という。) 。

判示事項

1 刑法168条の2第1項にいう「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否かの判断方法 2 ウェブサイトの閲覧者の同意を得ることなくその電子計算機を使用して仮想通貨のマイニングを行わせるプログラムコードが不正指令電磁的記録に当たらないとされた事例

事件番号

令和2(あ)457

事件名

不正指令電磁的記録保管被告事件

裁判所

最高裁判所第一小法廷

裁判年月日

令和4年1月20日

裁判種別

判決

結果

破棄自判

原審裁判所

東京高等裁判所

原審事件番号

令和1(う)883

原審裁判年月日

令和2年2月7日