この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
製造業の会社からの相談でした。ある労働者の退職に伴い,金銭面でのトラブルが発生し,相手方労働者が,外部の労働組合に加入し,その労働組合が相談者である会社に対して団体交渉の申し入れをしたとのことでした。依頼者となる会社は,社内に労働組合は存在せず,労働組合との団体交渉をしたことがない会社でした。今回,問題となった労働組合は,会社外の労働組合で,いわゆる「合同労組」とか「ユニオン」と呼ばれる労働組合でした。その労働組合から,団体交渉で交渉する事項として,会社側の問題点が列記され,その文面にも会社の担当者は驚いてしまった様子でした。弁護士として,会社の代理人として,団体交渉に臨むこととなりました。
解決への流れ
労働組合側と団体交渉の日程や場所の調整を行った上で,団体交渉に臨みました。会社側では,弁護士の他に,人事部の担当者,会社の顧問である社会保険労務士も同席で臨みました。団体交渉が始まると労働組合側から,会社に対する糾弾が始まりました。一瞬たじろいでしまうような激しい糾弾でしたが,これも労働組合の交渉手法です。彼らが一通り話し終えると,実質的な交渉に入りました。交渉では,労働組合側の言い分にも理解できる点があることを示しつつも,会社としての考え方を説明し,理解を求めました。交渉時間は比較的長時間にわたりましたが,丁寧な説明と,法的な正当性を主張することで労働組合側も妥協点を探るような態度に変化していきました。結局,即日,合理的な内容の合意に達することができ,団体交渉を平穏に終えることが出来ました。
会社には,労働組合からの団体交渉の申し入れに対し,これに応じて誠実に交渉をする義務があります。義務があるのは,「誠実に交渉すること」ですから,相手方の要求の飲む義務ではありません。とはいえ,労働組合の争議によって,営業活動に重大な影響が生じることも懸念されるため,慎重な交渉が求められます。労働組合も様々であるとは思いますが,厳しい糾弾をしてくるような労働組合も存在しており,そのような団体との交渉は,交渉事に不慣れな方には荷が重すぎるとも考えられます。団体交渉の代理人を弁護士に依頼することで,結果的に会社の利益を守ることにつながっていると思う事案でした。